第9回統合的先端研究成果発表会

公益財団法人 東洋アルミ軽金属みらい財団
第9回

統合的先端研究成果発表会

開催日
2026年7月13日(月)
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プログラム

ご挨拶
(敬称略)
公益財団法人 東洋アルミ軽金属みらい財団 理事長
(元東洋アルミニウム株式会社 代表取締役社長)
山本 博
祝辞
経済産業省 製造産業局 金属課長
鍋島 学
講演
関連発表
アルミニウム共晶合金積層造形における急速溶融・急冷凝固と特異な組織形成
大阪大学 大学院工学研究科 講師 奥川 将行
成果発表
アルミニウム積層造形体のひずみ速度感受性に関する統合研究
(1) はじめに(研究の背景・目的)
名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授
渡辺 義見
(2) アルミニウムおよびチタン合金積層造形体の力学物性調査の為のヘテロ凝固核粒子の添加
名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授
渡辺 義見
(3)アルミニウム合金ラティス構造体の圧縮特性に及ぼすTiCヘテロ凝固核粒子添加の影響
東京都立産業技術研究センター 副主任研究員
大久保 智
(4) 金属粉末レーザ積層造形により作製したアルミニウム合金ラティス構造体の圧縮変形挙動
東京都立大学 システムデザイン研究科 教授
北薗 幸一
総合討論
閉会挨拶
公益財団法人 東洋アルミ軽金属みらい財団 専務理事 浅田 淑

研究テーマの今後への思い
渡辺 義見
(名古屋工業大学 大学院工学研究科 工学専攻材料機能分野)

 軽金属奨学会による課題研究や教育研究資金の支援を通し,鋳造アルミニウム合金用のヘテロ凝固核粒子の研究開発を続けてきた研究代表者が,積層造形の組織改善にもヘテロ凝固核粒子の添加が有効なのでは,と思いついたのは,ある講演を聞いた時である。実際に実験をして実施すると,組織の微細化に加え,造形性の向上などいくつかの面白い現象が見いだされ,こうなると,実際の製品製造に応用したい,という強い思い湧きあがり,金属積層造形の専門家,ラティス構造の専門家,高速変形の専門家と知恵を出し合い,このテーマに決定した。期間中にメンバーの所属移動があるなど,若干,想定外の出来事もあったが,研究を通し様々な企業研究者や技術者と交流することが出来,とても有意義であった。積層造形そのものが日本発の技術であるのにも関わらず,残念ながら,我が国は遅れをとっている。本研究を通し,我が国の技術力を世界にアピールできれば光栄である。
大久保 智
(東京都立産業技術研究センター)

 本研究を通じて,材料や造形条件が特性に影響を与えること自体は当然である一方で,その影響の現れ方が材料系によって大きく異なる点が非常に印象的であった。特に,AlSi10Mgではヘテロ凝固核粒子の添加による顕著な変化が見られなかったのに対し,A6061 では同様の粒子添加によって造形性が大きく向上した点は興味深い結果であった。この違いは単純な材料強化として説明できるものではなく,凝固挙動や欠陥形成過程といったより基礎的な現象に起因している可能性があると感じている。また,材料特性と造形結果の関係についてはまだ十分に整理されているとは言えず,今後さらに詳細に検討する余地がある。加えて,今回は熱処理まで踏み込むことができなかったが,今後は造形後の組織変化や特性変化も含めて検討を進めることで,これらの現象の理解をより深めていきたい。
北薗 幸一
(東京都立大学大学院システムデザイン研究科)

 近年の金属積層造形(AM)技術の進歩は目覚ましく,造形精度,造形速度の向上に加え,利用可能な合金の種類も増加し、多くのアルミニウム合金部材をAMで作製可能です。一方,AMの発展には技術自体の成熟に加え,応用先の選定が重要である。複雑な内部構造を有し,古典的製造法では作製困難なセル構造体は,AMの応用先として最適で,今後の成長が期待される分野です。今回の研究テーマはその先駆けとなるものであり,非常に有意義な助成でした。

 著者は2006 年から継続して貴財団の教育・研究資金の助成を受けており,2018 年には課題研究の助成を頂きました。今回,統合的先端研究に参加する機会を頂き,心より感謝申し上げます。現在,多くの大学で研究費が削減される中,奨学会の助成金により多くの軽金属の基礎研究が支えられています。貴財団には今後とも多くの助成事業を通じ,軽金属分野への益々のご支援をお願い申し上げます。
西田 政弘
(防衛大学校 機械システム工学科)

 本研究では,金属積層造形法によって作製されたアルミニウム合金材料の衝撃・高速変形挙動を明らかにし,輸送機などの安全な設計に資する材料情報を得ることを目的として取り組んできた。今後日本において一層の発展が求められる金属積層造形法の研究に参画できたこと,また日本を代表する研究者の先生方と議論を重ねる機会を得たことを大変光栄に思っている。金属積層造形法の実用化を一層促進するには,衝撃荷重下で支配的となるひずみ速度依存性を考慮した材料評価が不可欠である。そのため,アルミニウム合金材料積層造形材に関する衝撃・高速変形挙動の体系的なデータ蓄積が必要であり,本研究で得られた結果がその一助となることを期待している。本研究助成により得られた有益な結果が,今後の積層造形材の信頼性評価や輸送機構造の設計指針構築において参考となることを願っている。今後も引き続き,金属積層造形法に関する研究を継続していきたい。