奨学生インタビュー

茨城県立下妻第一高校卒業後、東北大学工学部化学バイオ工学科に入学。様々な講義を受講する中で無機化学の面白さに惹かれたこと、そして脱炭素社会の基盤ともなる蓄電池研究に携わりたいとの思いからマグネシウム蓄電池材料の研究をしています。休みの日に旅行や天体観測をするのが好きです。

奨学生応募の動機は?

修士1年の秋、私はすでに博士課程進学を決めていましたが、学費や生活費に対して大きな不安がありました。さまざまな奨学金制度を探し、本奨学制度の存在を知りましたが、最初は応募を躊躇しました。それは、私の研究は軽金属そのものを研究するのではなく軽金属を利用した応用研究であったためです。しかし指導教員に相談したところ、直接的でなくとも軽金属分野の将来に大きく貢献できるのではないかという言葉をいただき、考えが変わりました。また、本奨学制度は4年にわたる学費及び研究費補助といった博士課程進学を考える学生にとって研究する上でこの上ない環境をいただける機会であったため、挑戦の意味も含めて応募を決意しました。
私は特別奨学生としての貴重な期間を、国際性や技術的バックグラウンドを蓄え、幅広い学術領域に自ら切り込める研究者になるための重要なステップとして位置づけたいと考えています。そしてMg蓄電池研究を自身の定めたゴールまで運び、社会に成果を還元し、電池分野及び軽金属分野を一歩前進させるべく研究に励んでいく所存です。

研究内容を教えてください。

現在広く使われているLiイオン電池のエネルギー密度は理論限界に迫っており、電気自動車やスマートグリッドを支える定置用電源のさらなる普及には、蓄電池性能の飛躍的な向上が必要です。さらに、昨今の不安定化する世界情勢を鑑みて、価格の変動しにくいレアメタルフリー蓄電池の創出は不可欠です。これらの高い要求を満足するには、安価かつ安全なMgを使うことが有効であるといえます。私が研究しているMg蓄電池は高い体積エネルギー密度と安全性、低価格であることを特徴にもつことから次世代の蓄電池として注目を集めています。しかし、実現には多くの課題があり、私はその中でも開発の肝となる正極材料開発に注力しています。室温で高出力かつ高サイクル特性を発揮させるべく酸化物材料の極小ナノ粒子化やナノオーダーの酸化物コーティング技術の開発、粒子形態制御など多角的に研究を行い、それぞれの要素技術を兼ね備えた高性能Mg蓄電池正極材料の開発を目指しています。Mg蓄電池が実現することによりMg金属の需要増加につながり、Mgを基盤とした脱炭素社会が築かれることを期待しています。

特別奨学生卒業にあたり

2026年3月に博士(環境科学)の学位を取得いたしました。公私ともに充実した研究生活を送ることができましたのも、ひとえに奨学会の皆様より4年間にわたる温かいご支援のおかげです。心より感謝申し上げます。修士課程2年次より、研究に関して年間150万円をご支援いただける特別奨学生制度のもと、自らの発想を速やかに研究として形にできる恵まれた環境で、自由な挑戦を重ねることができました。また、それまで私にとって必ずしも身近ではなかった「軽金属」分野に触れ、専門を越えた議論を重ねる機会を得られたことは自身の研究オリジナリティを研鑽するのにこれ以上ない場となったと考えております。さらに、年に2回の特別奨学生同士の交流の場では、研究や悩みを率直に語り合うことができ、前向きな気持ちで研究に向き合う力を与えてくれました。
このたびアカデミアの一員として新たな一歩を踏み出しますが、今後も蓄電池研究の立場から軽金属分野に積極的に関わり、その発展に貢献してまいりたいと考えております。


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