奨学生インタビュー

岡山県倉敷市出身。金佑勁先生に師事し、軽金属粉体の粉塵爆発における火炎伝播挙動について研究を進めています。微小重力環境で粉塵爆発実験を実施するために微小重力実験装置の開発にも奮闘しています。

奨学生応募の動機は?

修士課程2年の春頃に所属プログラムから周知があり、指導教員の金先生から本奨学生制度を紹介していただきました。この時点で私は博士課程に進学する意志を固めており、「経済的に自立したい」「博士課程では研究以外の悩みをできるだけ減らしたい」と考えて奨学金を検討していた時期でした。私は安全工学・燃焼工学的な観点からアルミニウム粉体の粉塵爆発現象について研究していたので、まずは奨学会事務局に問い合わせをしました。その後アルミニウム粉体の基礎燃焼特性に関する研究ということで審査いただけるとのご連絡をいただきました。学費補助と研究費補助の両方を頂ける点が魅力的だった上、ちょうど修士2年生が本制度に申請可能になった年度だったので、この上ないチャンスだと思い応募しました。
現在微小重力実験にも取り組んでいますが、微小重力実験装置開発では強度だけでなく小型化・軽量化も検討しなければならないので軽くて強いアルミニウム材は心強い味方です。さらに装置が小さく軽くなるおかげで(女性の筋力でも)組立や移動がしやすいので、ユーザー目線でも私にとってアルミニウムは特別な材料です。今後軽金属の魅力がより活かされて軽金属の活躍の場を広げられるように、軽金属粉体の粉塵爆発に関する研究を進めていきたいと考えています。学位取得後は宇宙火災安全やクリーンエネルギー開発に携わる研究者になり、軽金属分野の発展や持続可能な開発目標(SDGs)に貢献したいです。

研究内容を教えてください。

粉塵爆発は小麦粉やトナー、金属粉体まで様々な可燃性粉体で発生しており、近年では軽金属微粉体による爆発事故が増加しています。アルミニウム粉体やマグネシウム粉体の粉塵爆発は被害も大きく、このような粉塵爆発の発生可能性や被害の大きさを検討するための粉塵爆発リスク評価が必要不可欠です。リスク評価に用いられる全てのパラメータが火炎伝播挙動に依存していることから火炎伝播メカニズムや基礎燃焼特性に着目し、独自の可視化システムや微小重力実験を利用して研究を進めています。粉塵爆発分野の研究には現象の複雑さや基礎燃焼実験の困難さによる課題もありますが、金属粉体燃焼のエネルギー利用も期待できます。