奨学生インタビュー

私が所属している材料組織学研究グループは、教員合わせて15名で活動しています。女性は私1人だけですが、毎日気兼ねなく和気あいあいと実験やディスカッションを行っています。本研究室では、Al合金の変形挙動、Mg合金のすべり系に関する研究などを、放射光測定などを用いて行っています。

奨学生応募の動機は?

学部・修士の頃から様々な学会に参加する機会があり、そのたびに最先端の研究をされている多くの研究者たちに感銘を受け、強い憧れがありました。そして、自身の研究をさらに深め、発展させたいという思いが生まれました。とは言え、「絶対に博士課程に進学したい!」という思いよりも、今の自分の研究やプレゼン力がどこまで通用するのか、理事の方々に審査していただける希少な機会が貴重な経験になると考え、全力で挑んでみようと思ったのが応募のきっかけです。
博士課程に進学した今、困難なことは多々ありますが、先生や奨学会からの支えにより、想像していたよりもずっと充実した研究生活を過ごしています。私が目指す「熱意を持ち続け行動的でありつつも謙虚な研究者」に少しでも近づけるよう、”学ぶ楽しさ” を大切にしながら、日々邁進しています。そして将来、女性が今以上に研究職で輝ける環境づくりに貢献できればと思っています。

研究内容を教えてください。

Al合金中に形成されるナノクラスタの研究を行っています。
例えば、Al-Mg-Si合金は時効硬化能を有する一方で、複雑な二段時効挙動を示すことが知られています。この原因として、溶体化処理後の予備時効中に形成されるナノクラスタが二段時効に及ぼす影響が示唆されています。しかし、ナノクラスタの具体的な構造や形成過程などの詳細は未解明な部分が多いのが現状です。また、Al-Mg-Si合金にSn, Agなどを微量添加(マイクロアロイング)することで、二段時効挙動が大きく変化することが報告されていますが、マイクロアロイング元素がナノクラスタ形成に与える直接的な影響は十分に明らかになっていません。そこで私たちは、大型放射光施設 SPring-8 にてXAFS測定を行い、第一原理計算を用いて様々なクラスタモデルを評価することで、過去に例を見ない元素選択制を有したナノクラスタ解析に取り組んでいます。

軽金属奨学会 特別奨学生卒業にあたり

本奨学生に採択していただき、研究活動を支援してくださったおかげで、博士課程を無事に修了することができました。心より感謝申し上げます。
本奨学制度が他の奨学制度と大きく異なる点は2つあると考えます。1つ目は、研究成果報告会などで理事の先生方から丁寧なアドバイスをいただけることです。私はこれまで、研究内容だけでなく、研究者として成長するために欠けている点など、厳しくも的確なアドバイスを多くいただきました。まだまだ未熟ですべて達成できたわけではありませんが、先生方のアドバイスをきっかけに研究に対する姿勢・考えが大きく変わり、先生方を目標にレベルアップできるよう日々精進したいと強く思うようになりました。
2つ目は、奨学生同士の交流です。様々な分野で熱心に研究活動を行っている奨学生同士と意見交換を行うことで、大変勉強になり刺激を受けました。さらに、研究生活において悩んでいる点などお互い相談する環境があることで、心の支えとなり研究活動への励みにもなりました。
これらのように本奨学制度では、学費や研究費補助によって快適な研究環境や研究に専念できる時間を与えてくださっただけではなく、一人一人が研究者として成長できるような体制が整えられており、本奨学生だからこそ大変有意義な研究生活を送ることができたと実感しています。
現在、本奨学生への応募を迷っておられる方々におきましては、ぜひ挑戦することをお勧めします。また、現在奨学生として在籍しておられる方々におきましては、辛いこともたくさんあると思いますが、自分の納得できる結果が得られるよう、陰ながら応援しています。

改めまして、軽金属奨学会のこれまでのご支援に厚く御礼申し上げます。