公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
92/102

90設立60周年記念特別寄稿教育研究資金・研究補助金成果報告書 平成26年度より研究補助金の交付を頂き、希土類添加型マグネシウム基合金のクリープ挙動に関する基礎的研究を行っております。イットリウム添加により、マグネシウムを含むhcp金属・合金の多くで0.7Tm以上の高温領域で報告される変形機構が、0.5Tm程度の中低温でも生じていることがMg-Y基固溶体で実験的に観察されました。必要なイットリウム量は0.2mol%以上、その時の積層欠陥エネルギーは純マグネシウムの1/20以下であり、更にその値から見積られる上昇運動律速のクリープ速度は0.5~0.7Tmの温度範囲で実測されるクリープ速度よりも著しく低いことから、マグネシウムではごく微量の希土類の添加で変形機構の温度依存性が大きく変化し、高強度化されると考えられます。研究補助金のご支援により上記をはじめとした多くの結果が得られました。心より感謝申し上げます。Mg-Y基合金の 高温クリープ変形機構に及ぼす 積層欠陥エネルギーの影響(No.28)富山県立大学 准教授鈴木 真由美 長年、アルミニウムおよびアルミニウム合金基の複合材料の開発に関する研究に携わってきましたが、特に、汎用の鋳造装置で利用可能な多孔体プリフォームへの低圧含浸法の開発、放熱板に利用可能な高熱伝導性の複合材料の開発に重点をおいてきました。また、複合材料では分散材とアルミニウムの界面のナノレベルの構造がその特性に強く影響する為、透過電子顕微鏡を用いてその組織の解析を行うとともに、諸特性との関係について学術的に明らかにしてきました。軽金属奨学会からの研究資金は、特に基礎的な学術的視点の解析に役立たせていただいております。複合材料は、モノリシック材料では実用できないような特性を有する材料、多機能な特性を有する材料を作製できるため、今後とも、優れた複合材料技術を提案していきたいと考えています。アルミニウム基 複合材料の開発広島大学 教授佐々木 元図1Mg-Y-Zn合金中の転位の拡張 ⒜拡張転位間の積層欠陥  ⒝拡張転位図1高分解能電子顕微鏡で観察したカーボンナノファイバ (CNF)/アルミニウム複合材料の界面

元のページ  ../index.html#92

このブックを見る