公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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88設立60周年記念特別寄稿教育研究資金・研究補助金成果報告書 教育研究資金によって,環境負荷の低減およびユビキタス化の観点から粉末冶金法による軽金属材料の高強度化および高機能化に取り組んでいる。すなわち,粉末を粉砕しながら同時に巨大ひずみの導入が可能なメカニカルミリング(Mechanical Milling: MM)法を純アルミニウムに適用している。MM処理によって創り出された粉末の特性は,結晶子の微細化およびひずみの導入が図られ,硬さはMM処理前と比較して3倍以上引き上げられる(図1)。MM処理によって創成された粉末からバルク材を作製する固化成形プロセスには,少ない工程数かつ短時間でバルク化が可能な放電プラズマ焼結(Spark Plasma Sintering: SPS)法が他のプロセスと比較して効果的である。SPSプロセス中の加熱中に固相反応が誘起され金属間化合物が生成し,これらの化合物によって室温での強度向上が図られる(図2)。多くの研究成果は軽金属を中心に公表されている。教育研究資金を受領して 日本大学 教授久保田 正広 軽金属奨学会創立60周年おめでとうございます。貴財団が60年の永きにわたり、軽金属分野の研究教育にご支援をいただきましたことに、この分野に属する研究者の一人として、心よりお礼申し上げます。 個人的には、教育研究資金、研究補助金のみならず課題研究、統合的先端研究に関して多大な助成をいただきました。このようなご支援に対し厚く御礼申し上げます。特に、2002/2003年度の課題研究「連続繰り返し曲げ加工による結晶方位制御・高疲労強度板材の創製」を採択いただいた際には、ロール駆動型連続繰り返し曲げ加工(CCB)装置(図1)を導入する資金として使わせていただきました。この装置の導入により、CCB研究に関する多くの成果を挙げることができました。 今後も貴財団が軽金属分野の研究教育の振興のため貴重なご支援をいただき、この分野が益々発展することを祈念し、創立60周年のお祝いとお礼の言葉とさせていただきます。軽金属奨学会創立60周年の お祝いとお礼宇都宮大学 教授高山 善匡図1純アルミニウムのMM処理時間と硬さの関係図2MM-SPSプロセスで作製したバルク材の引張特性図1 連続繰り返し曲げ加工装置

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