公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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7  公益財団法人軽金属奨学会の設立60周年を心からお祝い申し上げます。私が軽金属奨学会の歴史を昭和30年の開設時から詳しく知り得たのは「財団法人軽金属奨学会設立50年のあゆみ」(平成18年発行)に因ります。軽金属奨学会は全国の大学や工業高等専門学校で軽金属の研究に熱心にとり組んでおられる先生方に対し、教育研究資金、研究補助金などの開設時からの支援事業に加え、時宜を得た数々の新規の支援事業を提供し、軽金属の研究や産業の発展及び産学連携の進展に大いに貢献し、現在に至っています。私自身が研究代表者であった「メカニカルアロイングによるAl-Tiおよび、Al-Zr系非平衡相の生成と粉末の高圧力・低温固化」の研究計画が平成4年度課題研究に採択され、2年間にわたって多額の研究助成金を頂き、高エネルギー遊星型ボールミルなどを購入して研究成果を達成できたことを感謝しています。私は大阪大学助教授であった平成6年3月に理事に選任され、その年の10月に富山大学教授として赴任した後、新規事業としての「軽金属フォーラム」の第2回実行委員長を務めました。その折、「地球に優しいアルミニウムを考える」を主題とし、エコマテリアルの名付け親である山本良一東京大学教授(当時)に基調講演をお願いし、続いて自動車、アルミ缶、環境管理などの各分野の専門家による講演の後、出席者の自由な意見発表を含むパネル討論で盛り上がったことを懐かしく思い出します。軽金属奨学会の理事・評議員として21年間を務めさせて頂き、大変光栄に存じます。 軽金属奨学会の益々のご隆昌を心からお祈り申し上げます。  軽金属奨学会が設立60周年を迎えたという。誠におめでたいことである。奨学会には理事・評議員として23年間籍をおいているが、その間、村上陽太郎先生、堀内良先生、山根壽己先生など諸先生にご交誼をいただき、多くを学ばせて頂いた。東洋アルミ在職中には、研究の相談や実験のお願いに北海道大学から九州大学まで数多くの大学を訪ねたが、どの大学どの先生方にも快く応対して頂き、奨学会と東洋アルミの繋がりがあっての事と有難く思ったことだった。 軽金属奨学会の基幹事業である教育研究資金・研究補助金は、設立以来60年途切れることなく続けられ、現在では毎年約50の大学・高専の80人を超える先生方に研究資金が提供されている。奨学会が設立された昭和30年当時わずか5万トンに過ぎなかったアルミ圧延品の生産量は、その後60年の間に200万トンにまで成長した。教育研究資金・研究補助金の1件あたりの金額は必ずしも十分とはいえないが、奨学会が軽金属研究の裾野を広げることに果たした役割は評価されてよいと思う。 昭和30年1件5万円ないし10万円で始められた教育研究資金は39年には20万円まで増額され現在に至っているが、平成26年を100とした消費者物価指数は昭和30年は17、39年は23であった。単純に物価指数で比較すれば、現在の20万円は昭和30年には30万から60万円、39年には90万円ほどの値打ちがあったといえる。先生方にとって使いでのある金額であった。「薄く広く」という方針で運営されてきた教育研究資金ではあるが、設立60年を機に見直されてよいのかもしれない。 軽金属奨学会が、わが国の軽金属産業の技術を陰で支える存在であり続けることを願っている。富山大学名誉教授佐治 重興(軽金属奨学会評議員)元東洋アルミニウム株式会社 専務取締役木村 亨(軽金属奨学会評議員)

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