公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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85決するのが、現在国プロでも実施している究極の選別法でレーザーを使ったLIBS(Laser Induced Breakdown Spectroscopy)である。 これは、レーザーを照射することにより、生成されたプラズマからの発光を分光分析して得られるスペクトルの波長と強度から合金を特定し選別するものである。ベルトコンベアに流す前に、3D形状選別装置を設置して、形状により識別が比較的容易な鋳物・ダイカストと展伸材を事前に分離してから、ベルトコンベアに流してレーザーを照射する。国プロで使用しているレーザー発振器そのものは、ドイツのセコプタという会社のものを使っているが、金属などを対象にそれを選別するトータルとしてのシステムをつくる意味では、世界でも画期的な試みと言える。LIBSの国プロは、富山県のハリタ金属が事業主体となり、早稲田大学、中部大学、産業総合技術研究所、当協会の5者で平成26年度から進めており、まずは、レーザー発振装置を固定して、一列に並べたスクラップで試験を実施し、初期の目標を達成した。今年度はレーザー発振器を首ふりして、二次元方向のあらゆる位置のスクラップを検知できるようにシステムを改良し、試験を行う予定となっている。 X線を使ったソーターでサッシからサッシへの水平リサイクルは実現したが、LIBSが完成すれば、自動車から自動車への究極の水平リサイクルが実現することになり、資源循環のフローは大きく変わることとなる。特に、自動車についてはこれから軽量化に伴い、アルミニウムが多く使用される方向にあり、さらにはマルチマテリアル化という動きの中で、アルミニウムを含んだ大量の自動車スクラップが市場に出回ることが想定され、このような高度なリサイクル技術は資源の有効活用に大きく貢献するものと思われる。リサイクル資源に乏しい我が国は、電気の缶詰と言われるアルミ新地金の輸入を抑えることができ、海外における地球環境問題の解決への貢献という意味でも、大きなインパクトを与えるものになると期待している。4.人材育成 日本の技術はまだまだ強いところがあり、今後激化するグローバル競争の中で、ますますそれに磨きをかけていかなければならないが、このような一歩先を行く技術革新を可能にする人材の育成は、非常に重要な課題である。当協会でも、人材育成を大きな3本柱の一つとして位置づけ、①製造中核人材育成事業、②大学への研究助成、③大学での特別出張講座の開催、④学生向けリクルート講座などの事業を実施している。その人材を育てる企業の在り方について、日本においては経済の黄X線を利用した選別プロセス現在開発中のLIBSソーター(ハリタ金属)

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