公益財団法人 軽金属奨学会 設立60年史
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76量は毎年過去最低を更新してきており、また猛暑になってもそれほど伸びないのが現状である。しかしながら、ボトル缶の登場により缶ビール用出荷の減少が相殺され、またミルク入り缶コーヒーがスティール缶からアルミ缶に切り替わってきたのが、明るい材料と言えよう。 そのような状況において、期待できるのが、自動車用の板材である。過去最高は2007年(平成19年)の167千トンで、その後低迷し2014年(平成26年)には146千トンとなっている。これは国内自動車生産台数の減少にもよるが、自動車の軽量化は少しずつ進んできており、今後に期待がおおいに持てると考える。 押出しについては、需要分野別にみると建築分野が最も大きく、1996年(平成8年)の125万トンが過去最高。これは消費税増税前の駆け込み需要が大きな要因となっている。その後は、住宅着工戸数の減少に伴い、2014年(平成26年)には822千トンとなっている。 2020年(平成32年)のオリンピックに向けて、ビルの着工件数も増えて行くことが期待されているが、近年は中国からの輸入も増えてきており、その動向を注視していく必要があろう。 そのような状況の中、今期待されているのが、土木分野におけるアルミニウム製品や構造物の需要拡大である。日本アルミニウム協会では、日本のアルミニウム業界の研究開発の道筋を示した技術戦略ロードマップを2009年(平成21年)に策定し、定期的に見直しを行っているが、これはどちらかと言えば中長期的な需要開拓に貢献するような研究課題に的を絞っている。アルミニウムの需要が伸び悩む中、短中期需要開拓について、いろいろと検討した結果、土木分野が有望との結論に達し、一昨アルミニウム製品出荷量の推移(製品別)自動車用圧延品出荷量推移アルミ圧延品(板)出荷量推移アルミ圧延品(押出)出荷量推移

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